企画投稿論文:12件

企画S1「自転車空間整備とその評価」(6/6 金 09:00~10:00)
オーガナイザー・司会者名:金 利昭(茨城大学)filekikaku_tougi企画自転車1.pdf

セッション全体

岡山53 号の自転車道および大分の自転車交通実験の事例とその評価、さらに改 善策の評価を実例として発表された。全体として、実際に生じた問題に対する関心が高く、さらに 沿道や市民の意識と、自転車空間の整備に向けた合意の形成上の問題についての議論が中心に行わ れた。

討議内容

(発表番号) 発表者名 (所属):140 崎 大樹(岡山大学)

岡山53 号での自転車道整備効果に関する実態と意識調査分析が報告された。自転車道+歩道と 交差道路が交わる交差点での優先関係や交通錯綜状況の観測があるかについて質問がなされた。自 転車等の利用者属性の判断方法について質問があり,主に服装など見かけで分類したことが回答さ れた。

(発表番号) 発表者名 (所属):141 寺崎健雄(ウエスコ)

岡山53 号での自転車道について遵守率を向上させるための社会実験の結果が報告された。すれ 違い時に左側へ避ける割合について質問があり,おおよそ80%との回答があった。社会実験で施 行されたマークなどが実験後撤去されていることが質問され,恒久化に向けて交通管理者との調整 が必要との回答があった。自転車道が利用されない原因として,自転車交通量と歩行者交通量の比 率からみて,自転車道の幅員のほうが狭い状況が挙げられる。整備にあたって,歩道部も一部自転 車道路に配分する案もあったが,できなかった。また自転車道整備後は歩道を通行できないが,8 0%の自転車利用者が歩道部を通行できないことを知らないとの調査結果も報告された。

(発表番号) 発表者名 (所属): 142 吉村充功(日本文理大学)

大分市において実施された一方通行化と自転車レーン設置の社会実験についての報告があった。 中高生の一部の評価が低い理由について質問があり,自転車の併走を規制したことや,路肩部を走 行するよう規制したがそこに溝や段差があったことが不満の理由と考えられるとの回答があった。 実施による自転車の速度について質問があったが,それほど高くなっていないとのこと。また,一 方通行にした区間の設定について質問があり,迂回路を考慮して設定されたこと,迂回路には渋滞 は生じなかったことが回答された。住民の評価では,事前に地域住民に説明会が実施されているが, 一方通行化が知らないうちに行われたという人もおり,本格実施の段階で合意形成をうまく行う妙 案は今のところ思いつかないとのこと。自転車レーンの時間帯設置が難しいのではという質問に対 しては,自動車の通行方向が朝夕で異なること,終日化が難しかったとの回答であった。

企画S2「自転車交通の特性と評価」(6/6 金 10:15~11:45)
オーガナイザー・司会者名:山中英生(徳島大学)file企画自転車S2討議.pdf

セッション全体

本セッションでは、自転車の行動特性、走行環境評価に関する5件の研究発表が あった。いずれも国内外での調査や計測結果に基づいた研究で、空間評価の視点としては、共存性、 快適性、心理的ストレスに着目したもの、自転車の特性については、電動自転車を含む混在交通流 と交通容量との関連に着目したものと移動軌跡データを用いた短距離トリップの特性に着目した ものがあった。会場からは計測・調査技術やその評価方法に関する質問があり、積極的な討議がな された。

討議内容

(発表番号) 発表者名 (所属):(143)金 利昭 (茨城大学)

  • シートの評価者は誰か?/目標値があれば評価ははっきりするのではないか?(近藤先生・滋賀 県立大学)/今回は専門家が評価することを想定(発表者)/評価する人は本来専門家で英国の 安全監査のような似たものがある(元田先生・岩手県立大学)/オーストラリアのものは一般を 対象としたもので、専門家が使う点数化して行うものもある(吉田先生・大阪市立大学)
  • 道の評価単位は?(近藤先生・滋賀県立大学)/今回は統一した基準は用いていない(発表者)

(発表番号) 発表者名 (所属):(144)柿原 健佑 (徳島大学大学院):

  • 中国ではどんな電動自転車か?(金先生・茨城大学)/加速性能が普通の自転車より良く、速度 は25km~35km。シェアは5 割程度を占めている(山中先生・徳島大学)

(発表番号) 発表者名 (所属):(145)諸田 恵士 (国土技術政策総合研究所)

  • 閾値の作成に当たり、アンケートを用いた通行快適性の評価だけで可能か?多面的に検討が必要 では?(屋井先生・東京工業大学)/共存で安心・快適というわけではなく、実験による対応も 含めて、多面的な検討が必要だと考えている(発表者)/こういう指標を是非作ってほしい。海 外に類似例がないか調べてみてはどうか?進行方向が関係しているのではないか?(元田先生・ 岩手県立大学)

(発表番号) 発表者名 (所属):(146)竹林 弘晃 (株式会社建設技術研究所)

  • 歩行者にトランスミッタを装着して調査を実施したか。実施していないのであれば、歩行者のス トレスも評価してはどうか。(大森氏・日建設計シビル)/道路の空間評価を行う上では、自転 車だけでなく道路利用者である歩行者や自動車の評価は、必要と認識している。この論文では、 歩行者については分析していないが、今回の調査で日常時も計測しておりその結果を使えば整理 できる。また、自動車の運転手に対しても調査したが、自転車よりも自動車は性格等により影響 する要素が大きく、ストレス状況が想定したような結果にならなかった。
  • 飛び出し等の多い交差点付近等の車道を走行する際、ストレス値への反応があったか。(大森氏・ 日建設計シビル)/今回の調査路線は、そうした箇所が少なく、調査手法上、大きな交差点では 野帳を記入していたため、特徴的な結果はでなかった、特にストレス発現が大きかったのは、地 下道の走行、大きな路面の凹凸の部分であった。(発表者)
  • どのような人を調査員として、どのくらいのサンプルを取得すれば妥当な評価とできるか。(山 中先生)/個人の性格とストレス発現状況との関連性を分析した結果、性格とストレス発現の関 連性が伺え、ストレスを発現しやすい人を調査員にする方がより感度の高いデータが得られると 考える。より精度の高い調査とするには、今後、多様な道路断面形状でのデータの蓄積や調査手 法の課題を改善する必要があると考える。(発表者)
  • ストレスと健康の関係性は見いだせるか。(蕃さん・徳島大学)/この計測機器を用いて健康の 視点から評価をすることは難しい。(発表者)

(発表番号) 発表者名 (所属):(147)藤井 敬士 (東京大学大学院)

  • 自転車利用者は車利用者の特性と比較して、一旦家に帰ってくることがあげられているが、その 理由には荷物の有無が関係するのでは?(大脇氏・国土技術政策総合研究所)/今回の調査では 荷物の有無まで調査できていないが、関係はあると思う(発表者)
  • 図-2 で分担率が安定していないのはデータの取り方なのか?(元田先生・岩手県立大学)/1000 m単位で集計して分担率を算出しているため、トリップ数が少ないような距離帯では分担率が歪 んでしまっていると考えられる(発表者)

企画S3「自転車空間・自転車交通行動」(6/6 金 14:00~15:30)
オーガナイザー・司会者名:吉田長裕(大阪市立大学) file企画自転車S3討議.pdf

セッション全体

1編ごとに発表と質疑を行い、最後に残された時間で再度個別の質疑が行われた。 前2編の発表では欧米の政策・研究動向が紹介され、活発な質疑が行われた。また後1編の発表で は、自転車OD 分析に基づき従来の駅端末中心ネットワークへの疑義が提示され自転車走行帯整備 のあり方について議論された。最後1編では、駐輪位置決定モデルと設備配置の検討に基づき、駐 輪施設を有効に利用させる工夫について質疑が行われた。

討議内容

(148) 多田 弘 (岐阜大学大学院):パリ市の交通政策に見る自転車通行空間創出の試み

インターネットによる研究資料の収集により、様々な工夫(一方通行逆行レーン、バス自転車レー ン等)が紹介された。

  • バスと自転車の共用レーンとあるが、共用とはどういうことか。日本ではすでに共用しているの ではないか。また幅員についてはどうか。/(発表者)日本では標示などで明確になっていない。
  • 一方通行の工夫は幹線道路だけではないのか。地区道路でもやっているのか/(発表者)幹線が 多いが、地区道路でもやっている。
  • 評価はどうなっているか。/(発表者)先行している北欧の評価を参考にして導入しているよう だ。/(司会者)英国では、一方通行終わりの交差点で自動車との事故が発生しており、また一方 通行化によって走行速度も高まることから、規制自体をやめようとの議論がある。
  • レンタサイクル(ベリブ)の駐輪場の配置とレーンは関係しているか。/(発表者)ベリブまで は調べていない。ベリブ以外にも駐輪施設はある。例えばパリ駐車場混合経済会社と連携して自動 車用駐車場内に駐輪場を設けている。
  • インターネットやグーグルを使う際の方法論と限界は何か。/(発表者)グーグルアースは地区 によって精度が異なる。一般の検索では論文はヒットしなかった。一般向けのパンフレット類がヒ ット。大学などのサイトに入ってから検索を行うべきであろう。
  • (司会者)日本とヨーロッパの差異はどこにあるか。/(発表者)「自転車は車両、従って車道通 行」という意識の違い。一般のおばちゃんでも「自転車は車道を走るんだ」と言う意識がある。

(149) 鈴木美緒 (東京工業大学):自転車走行空間に関する近年の研究動向―欧米を中心に―

日本と比較して様々な研究がなされているが、まとめとして(日本で見られるような)走行速度の 分散、利用目的の多様性、そして事故対策が課題であるとの研究報告がなされた。

  • 車道との境界柵などの事後評価はあるか。/(発表者)見なかった。/(司会者)英国では柵を 取り除くことで自動車の速度が下がることから、議論の一つになりつつある( 参考: http://www.tfl.gov.uk/assets/downloads/ResearchSummaryNo3-PedestrianGuardRailing.pdf)。
  • 属性(高齢者)や大型車の研究はあるか。/(発表者)あまりないようだ。/(司会者)巻き込 み防止のため補助ミラーをつけるなどEU 標準化の動きがある( 参考: http://www.lcc.org.uk/index.asp?PageID=846)。
  • 車体の多様化(リカンベント、サイクルトレーラー)の研究はあるか。/(発表者)研究として はない。フィンランドでは昨年の夏ごろからベロタクシーが登場し、車道を走っているが、自転車 レーンとギリギリに走っているので今後検討すべきだと考えている。
  • 「整備されていない状態」とはどういう状態か。日本と同じなのか、違うのか、どういう問題が あるのか。/(発表者)アメリカでの研究では、レーンがないと歩道に上がってしまう。アメリカ は近年になって自転車走行空間を整備しているので、日本と同様,ルールが徹底していないのかも しれない。ヨーロッパでもレーンが無いより有るほうが安全であることが示されている。
  • サービスレベルやマナーなど、よくできている仏国を参考とする際の注意点は何か。調査論とし てはどうか。/(発表者)ベリブの利用者の中には歩道へ上がってしまうものもいる。仏国では利 用者層が狭いのでWeb で拾えるが、日本は利用者層も目的も広いのでWeb で拾いきれるかは疑問。
  • (司会者)海外では自転車設計に関するどんな調査データが多いのか。/(発表者)事故データ は多い。自転車対歩行者の事故データは団体を通したりWeb を使ったりして自己申告のものを集 めているようだ。

(150) 大脇鉄也 (国土技術政策研究所):自転車の駅端末利用割合に関する統計的考察

本来の自転車ODを考えれば、従来考えられていた駅中心ネットワークの議論には疑義があるとの 問題提起がなされた。

  • (司会者)自転車走行施設の計画を行う上でどのようなデータが必要となるのか、あるいは足り ないのか?/(発表者)自動車に比べて自転車は少ないが、国勢調査がよく調べられているので、 10年毎のセンサスでも十分。
  • (司会者)なぜ駅端末利用に着目しているのか?/(発表者)そもそも自転車利用は大部分が代 表交通手段なので、この特徴を見落とさずネットワーク整備に考慮していくべきだと考えている。

(151) 杉谷亮太 (九州大学大学院):駐輪場内位置決定モデルを用いた駐輪施設の評価及び設備配置の検討

駐輪位置決定モデルを用いて駐輪設備の評価と設備配置に関して研究報告がなされた。

  • (司会者)駐輪場の空き具合に関して完全情報が伝わっていると仮定してモデル化しているのか? その情報の取り扱いはどうなっているのか。/(発表者)考慮できていない。情報提供を工夫して いくことが必要となる。
  • 精度向上のために、駐輪の内容を考慮すべきではないか。/(発表者)籠に荷物を置いているか 等の要因が効いていると思うが、今回は考慮していない。
  • 二段ラックの活用を向上させるようなアイデアを教えて欲しい。路上駐輪と関連させて検討する とか。/(発表者)2段ラックの傾斜を変える等様々な工夫・要因が考えられるが、今回は分析デ ータとしては得られない。路上駐輪に対して、盗まれにくい100 円チェーンなどは、効用を考えれ ば検討は可能を考える。
  • (司会者)現状では駐輪場が使われていないが、駐輪施設の設計でかなり改善できると考えた背 景と今後の研究の見通しについて教えてほしい。/(発表者)駐輪場配置や道路の構造、距離など の要因を考慮できれば、利用率も高くよりコンパクトに駐輪場を設置できると思う。

添付ファイル: file企画自転車S3討議.pdf 433件 [詳細] file企画自転車S2討議.pdf 512件 [詳細] filekikaku_tougi企画自転車1.pdf 510件 [詳細]

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Last-modified: 2009-06-04 (木) 12:05:51