※土木計画学研究委員会で研究小委員会の設置が承認されたため第5回準備会を正式な第1回委員会として開催~ [[リンク:平成19年度第2回土木計画学研究委員会・議事録[2007/11/23]:http://www.jsce.or.jp/committee/ip/giji/h19/i-2-5-2.pdf]]~ ~ -日時:2007年11月25日(日) 10:30-12:30 -場所:八戸工業大学 --1)経緯説明 --2)4名から話題提供 --3)全体質疑(詳細は別紙議事録参照) 以下、委員会詳細 *(1)経緯説明(山中先生) [#pa31f179] 土木計画学研究委員会で承認され,昨日から委員会としての正式な活動開始したので準備会から正式な委員会に変更.自転車空間に関わる現実問題,法律的な問題,技術的な課題について情報共有する.委員会のメンバーについては今後公募(30-40名程度).自転車の交通特性の整理,空間整備の事例の整理,利用者研究.法制度,協力,取り締まりの問題も絡むが,最終的に空間整備の方向に向かうよう幅広く議論していく.メーリングリストの活用. *(2)話題提供 [#a950c12c] **大脇 鉄也 様(国総研) [#nfa1a6e1] &ref(国土交通省の自転車施策&研究課題提案.pdf); **今後の研究に期待したいテーマ(例) [#s3dd22f8] ***(1)計画技術 [#qe2e96b5] -どんな自転車網の組み方(パターン)があるのか? -自転車を組み入れた総合交通体系の組み方 -自転車に関する交通手段選択特性、経路選択特性 -地形や気象の影響への配慮~どこまで必要か? -高齢化と自転車、地域交通と自転車 -バス交通とのベストミックス ***(2)合意形成 [#z9639915] -「自転車」に対する一般的イメージ -利用意識と利用実態 -利用者層と非利用者層の違い -自動車の路上駐車と自転車走行空間 -歩車道境界の攻防、利害を調整するデザイン -自転車マップの活用(調査段階からの市民参加) ***(3)事故分析 [#ne2e12fb] -自転車事故の特徴、逆走の危険性 -左折巻き込み事故の実態 -出会い頭事故の類型化 -大規模平面交差での事故~右折した先の横断者の見落とし ***(4)設計手法、対策手法 [#h3126ec5] -需要変動に応じた交通運用を可能とする設計(compatibility index?) -一旦停止によらない出会い頭事故対策(mini roundabout?) -自転車の登坂能力~電動アシストの普及を踏まえ -走行位置選択特性 -車道逆走が発生しにくい設計 -副道の活用~ゆっくり走る自動車と自転車の混在空間の可能性 -歩道橋が必要な交差点~車道を平面交差のまま3m上げる設計 **(5)効果評価 [#m91dea4b] -効率的な現況把握手法(交通量、道路状況) -評価軸、評価指標 -速度サービスの評価 -逆説的評価~もしも、米国並みに自転車を使わなかったら? ***(6)適正な利用 [#oee6fa74] -守れるルール、守れないルール、守りたいルール、守らざるを得ないルール -自転車向けの案内誘導 -ドライバーの理解を促す方法 -歩行者の理解を促す方法 -保護者の教育~自転車の乗り方は、親から教わるもの -飲酒と自転車 ***(7)利用促進(?) [#r160e7ff] -そもそも促進か抑制か?~駐輪問題のジレンマ -非観光型レンタサイクルは日本に必要? -外国人観光客向けレンタサイクルの現状と今後 -自転車マップ~利用者の欲しい情報はなんだ? -サイクルトレインの効果と成否 -家族で自転車、荷物と自転車 ***(8)日本の自転車交通の歴史的考察 [#pcad3463] -自転車歩行者混在政策の功罪 -ママチャリの功罪 -日本の自転車利用が量的にトップクラスとなった背景 -自転車利用区間設計の変遷 -現構造令(S45)より前に設計された道路の評価 ***(9)税や料金、財源 [#t2919e31] -輸入関税のない日本、高い欧州 -自転車税(取得税、保有税)、鑑札制度 -揮発油税等を充てる理由 -環境改善効果 -自転車空間の維持管理費用 ***(10)国際戦略 [#o5537c3d] -自転車事故形態の変遷と国際比較 -アジア諸国の自転車施策の変遷と今後 -先進諸国の自転車利用状況の変遷 -情報発信~量的には自転車先進国日本として **森本 章倫 先生(宇都宮大学) [#j4beb3ad] 若年者の自転車利用:運転特性,安全対策 &ref(交通環境と自転車利用.pdf); **羽藤 英二 先生(東京大学) [#hceeedc1] **金 利昭 先生(茨城大学) [#r82fcf7c] *(3)全体質疑 [#m9f22320] 橋 本:幹線自転車ネットワークも大事だが,非幹線も大事.自転車は裏道を通す,という発想も必要. 大 脇:非幹線の単路部は堂々と真ん中を走ればいい.裏道の場合,小さい交差点での事故が多いので,そこが問題となるだろう.一時停止に頼らない方策を考えるべきではないだろうか.また,横断の問題を考えると,幹線を突っ切ったほうが自転車は速く移動できる.交差点への対策として,ハンプをおくとか,コーンをおくとかしてもいいのでは? 山 中:金沢では景観に配慮して交差点マークをいれず,危険になっている箇所もある.マークに関しては,統一したデザインの提案が必要. 磯 部:単路部は何でもできるが,バリアフリーとの兼ね合いではバス停と交差点は何もできない..空間がぐちゃぐちゃになってしまう.コリドー路線とコミュニティ路線(住宅街)があるが,自転車はコミュニティ路線ではうまくいっていない.道路交通法でがんじがらめになっていて効果的な手を打てないので,法律とともに考えていかなくてはならない.自転車自体(乗り物としての)の改良を考えていく必要があるのではないか. 金 :バス停や交差点への問題意識は高い.とても難しい問題. 浜 岡:新たな道路を作るとき,想定していたものと違う現象が起きるときもある.意外と速度が出なかった道路があれば,そこでは自転車に空間をあげてもいいという考え方もある.既存の道路では,いかに道路空間を配分していくのか?自動車や自転車の速度で分けるのか,ガイドラインが存在するのか?走行空間に関しては,自転車通行禁止も施策のひとつなのではないかと思う.また,IT利用の可能性はあるのか. 大 脇:ガイドラインについては現在まさに検討中.既存道路のほうが答えを出すのが簡単かもしれない.自転車交通量を予測する技術がないので,新設道路のほうが実は難しい.現在は現況ベースしか考えていないが,来年から構造令のことを考えたいので,新設道についても考えていかなくてはならない.しかしまだアイデアはない状態. 大 脇:トンネルの中で自転車がはねられて死ぬ事故が北陸などで相次いでいるが,実はトンネル空間において自転車の存在がわかれば解決する問題.トンネルの中で検知して知らせるシステムなども必要. 金 :自動車の速度抑制・一方通行化がもたらす影響は小さくない.自転車のためにそこまでできるかが,日本では問題になるのでは. 山 中:現況を考えると自転車や自動車の速度をどこから持ってくるのか. 屋 井:警察の教則本の件。「自転車横断帯を一律に作るわけではない,歩行者がいなければ横断歩道を走行してもいい」(現況に合わせた形)自転車横断帯をつくらないことで,車道通行の自転車はまっすぐ走ることができる.なのに,「危険と思われる場合は自転車が歩道に乗り上げていい」と定めている.連続して駐車車両がある場合は良いとして,自動車交通量が多くて車道が狭い場合 →これはまずいのでは?みんな自己判断で歩道に上がってしまう.歩道上の自転車同士のルールをつくるというのはどうなのか?(相手を右に見てすれ違う).歩行者にはルールがないのに,自転車にだけルールを作ることで自転車は歩道を(スピードを出して)走りやすくなってしまうことにならないか.自転車が徐行していないことを追認しているとしか思えない.警察はまだこの問題に気づいていないのでは….教則本は教育の基礎となるものなので,変な方向に進まないようにしてほしい. 久保田:手信号は誰もやっていないのに,など,教則本に関しての問題は多い.今日挙がったテーマを考えるだけでも3年はかかりそうという印象.バリアフリーとの関連もぜひ考えてほしい.これまではバリアフリーと自転車はあえて同時に考えないようにしていたところがあるが,そこに踏み込む必要はある.(たとえば自転車と車イスの共存などなど.)新設は将来のことがわからないからある程度やってしまっても文句が出なさそうだが,現存の道路のほうが合意形成が難しそうな印象がある.どこからくるかわからない自転車のために地元民が使う道路を一方通行にするとなると,問題になりそう. 大 脇:恐れ事件と戦うのは難しい.みんなの頭の中はぜんぜん違うから,恐れる事件も違って,合意形成がとりにくい.とにかく,合意形成はすぐにぶつかる大きな壁と言える. 塚 口:配分と使い方を同時に考える必要がある.地域特性の影響が大きい.最終的には標準的な方法+地域特性によるバリエーションという結末になるのでは.一般論でいこうとすると難しい.このような特徴を考えると,事例研究が重要になってくると思う. 寺 内:サインの問題.ぱっと見てすぐわかるようにしないと意味がない.事例だけでなく,サインに関してはスタンダードが必要かもしれない.それにプラスしてルールの強化を考えるという形だといいと思う.