土木計画学研究委員会 自転車空間研究小員会 第2回国際セミナー 自転車とまちづくりセミナー ~韓国で進む自転車まちづくり~ †
【日 時】2009年4月26日(日)14:00(13:30開場)~17:00 †
【主催者】社)土木学会 土木計画学研究委員会 自転車空間研究小委員会 NPO)日本都市計画家協会 NPO)自転車活用推進研究会 †
【後 援】国土技術政策総合研究所 / NPO)日本サイクルラック協会 †
【プログラム】 †
- 開会挨拶 山中英生【徳島大学 教授】
- 講師紹介 小林成基【自転車活用推進研究会 事務局長】
- 『韓国の自転車政策の動向』キム・ジョンソク(金鍾錫,KIM Jong-Seok)
- 『韓国の公共自転車導入の現況と今後の推進方向』ファン・ホーシュン(黃虎淳、Hwang Ho-Shun)
- 座談会 ~アジアにおける自転車まちづくり~ 講演者2名との座談会
- 山中英生【徳島大学 教授】
- 吉田長裕【大阪市立大学 講師】
- 小林成基【自転車活用推進研究会 事務局長】
- 須藤敦司【自転車まちづくり研究会 代表】
- 大脇鉄也【国土交通省国土技術政策総合研究所 主任研究員】
【参加費】3,000円(主催団体会員) 5,000円(主催団体の会員でない方) 2,000円(学生) †
【参加申し込み】 †
土木学会会員以外の方:申し込み用紙.pdfに記入の上FAXで土木学会へ申し込みください。 †
締め切り:4月20日(月) †
事前登録された方は4/17以降のキャンセルはご遠慮ください。当日参加も可能ですが,お席の確保のため事前申し込みをお願いします。
◆開催趣旨◆ †
韓国では11年前の国会での自転車促進決議以来、自転車活用推進が叫ばれてきたが、自動車優先政策にブレーキがかからず進展の兆しがなかった。昨年11月、政府とソウル市は突然、新たな方針を示し、地球環境保全や大気汚染防止、渋滞による損失の軽減に加え、医療費削減を目的とした自転車活用政策を打ち出し、コミュニティバイク、バス停前駐輪場整備、シャワー施設の併設などを翌12月から一部スタートさせるという猛烈なスピードで実現させている。こうした背景にはどのような社会的ニーズがあるのか、施策実現の舞台裏で先導的役割を果たしたキーマン二人を招いて、今後、わが国の採るべき道を含め考える。
◆講師紹介◆ †
- キム・ジョンソク(金鍾錫、KIM Jong-Seok)
民族舞踊の伝承者であり俳優、演出家でもある。高名な学者であり、自転車で通う国会議員としても有名な朴贊石議員の政策担当を経て、自転車利用活性化中央評価委員(行政自治部)などを歴任。ソウル市、大邱市、始興市などの自転車利用活性化推進委員会の役員として活躍する韓国自転車政策のリードオフマン。
- ファン・ホーシュン(黃虎淳、Hwang Ho-Shun)
三星GROUP、太平洋生命保險(株)、(株)Uniwide-Technology、(株)韓國Filmなど韓国大手企業で頭角を現し、2003年に無人式駐輪場システムを展開するEUROITS.CO.,LTDを設立。08年からは17 個所で無人レンタサイクルSystemを設置し運営をスタートさせた注目の若手経営者。
問い合わせ先 †
(株)オリエンタルコンサルタンツ 松原 淳 TEL 03-6311-7858 matsubara@oriconsul.co.jp
関連資料: †
seoul_plan-jp.pdf 注)この資料は昨年ソウルで発表された自転車計画の概要です(翻訳:大阪市大学生)。本セミナーの内容ではありませんが、ご参考ください。
bicycle_plane-jp.pdf注)この資料は昨年ソウルで発表された自転車計画の概要です(翻訳:大阪市大学生)。本セミナーの内容ではありませんが、ご参考ください。
☆当日配付資料
参加者人数 †
98名(正会員:67 非正会員:22 学生会員9)
質疑応答 †
- 通勤の自転車利用距離は?/私の場合は10km(大邱)。時間30~32分。ソウルでは20km通勤している人も多い。
- 20kmhで走行できる空間イメージ?/歩道では10kmh以上で走行できない。車道では20kmh以上での走行が可能。多くの国で質問したところ、まずは車よりも人と走行空間を区別するのが当たり前という回答が一般的。歩行者とは一緒に通行できない。より安全性を考慮するには車道上への通行施設整備が望ましい。
- 分担率1.2%→10%の実現可能性は?/保有率の向上は重要なことではない。持っている自転車を活性化させることが重要。子供に自転車を買うが危険だから乗ってはだめという。こういう認識を変える必要があり、運動を常に行っている。自動車免許取得時の試験にも自転車関連の問題を数問いれている。車利用車の心遣いが大切。
- 法制面は?/交通安全法についてはまだ未熟な面があり、2000年頃から改善要請、2007年に厚生安全府が作られ、自転車利用者の声を法律に反映できるようになった。現在も法律改正の動きあり。最も重要な法案は、車道の走行優先順位。現状では緊急自動車>自動車>二輪車>自転車と指定されているものを、緊急自動車とそれ以外に分類する。乱暴な自動車への対応として、追い越し時の車車間距離を1mとする法制化も検討中。飲酒運転の禁止も検討されたがまだ利用率が低く見送られた。
- 車道上での通行方法は?/基本は車道上で自転車と同方向の施設で、自転車通行施設の確保が難しい場所では自動車との間にフェンスを設けているところもある。
- 現在の大統領は自転車に熱い思いがある。大勢の人は大統領が言うからついていこうという雰囲気もあるが、実際には現大統領前から動きがある。そういうきっかけで地方自治体も影響を受けている。
- 自転車後進国のタイプ分類について/これは私がいろんな国を研究して作った。後進国では過去に必ず自転車に乗らない時代があった。日本もそういう時期があった。ベトナムではちょっと前は自転車天国だったのが、いまはオートバイ。もう少し経済発展が進むと自動車にかわっていくのでないか。中国も経済力がアップしていくと思うが、現状の自転車道が自転車のために使われるのであればそれはすばらしいことだと思う。
- 盗難対策は?防犯登録など/今のところほどんどない。現状は有料駐輪場を作るしかない。
- 公共自転車の利用者評価は?/ソウル市と昌原市でのみ導入されているが、利用者は場所によってかなり異なる。昌原市の場合、ステーションは道路周辺に設置されている。生活に自転車を必要とする通勤目的の利用者が多い。ソウル市の場合は2007-2008年の政策として生活に緊密な自転車利用を促進しようと、集合住宅の間にステーションを設置した。2008年後半からは道路沿いにも設置するようになった。まだステーションの設置数も少なく利用者は主婦や学生が中心、レジャー目的。
- 韓国の人は自転車が好きか?/日本人のほうが好きだと思うし大事にしている。韓国では、未だに自転車が交通手段としては望ましくないと思われている。こういう人たちのために安全に使えるように促す国家の政策が重要、市民団体、市民、研究機関も含めて政策をみんなで作っていく、力を入れる必要がある。ソウル市内での現在の分担率は0.8%しかない。2003年から継続して活動した松坡区では4%を超えている。/松坡区はお金持ちが住んでいるまちだが分担率4.9%という数字は大きく、これが政策の重要さを物語っている。